第5話「虚妄の戦争」-15

マスターシーン3

エメスPL
エメスPL

どこでもない場所がいいですね。誰かから干渉されない場所なら、夜空の下でもいい

九十九PL
九十九PL

じゃあ、夜空の下にしましょうか

綺麗。では、どこでもない場所まで行って、そこでソランがようやく目覚めるようですね

ソラン
ソラン

う、ぅ……。……君たちは……

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

すべて終わったよ

ソラン
ソラン

そうですか……

エメス
エメス

シオン・ルドワズは

ソラン
ソラン

いえ

指を立ててその先を止めましょう

ソラン
ソラン

ありがとうございます。……恥ずかしい話ですが、この何年も、僕はシオンを止めることができませんでした

エメス
エメス

それは血僕だから、だよね

ハテナっていう顔をしています。イルローズの世界設定に血僕って載ってないので、世界的に知られていないとしています

エメス
エメス

じゃあそれは、その、シオン・ルドワズの術によってだよね

ソラン
ソラン

おそらくそうなんでしょう。ただ、それで……なぜ僕をここに?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

そのままだったら、あんたは牢に入れられていただろう

ソラン
ソラン

それが、妥当でしょうね

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

だろうな。だが、あんたはそれでも、抗おうとしていた。そのあんたをそのまま裁きにかけてしまっていいのかなと、勝手ながら、ちょっと迷ってしまったんだ

ソラン
ソラン

そう……ですね。裁きは、受けなければならないと思います。僕は、自分で行動を決められなかったとはいえ、父を、手にかけました。それに、僕の作戦において、多くの者に命を落とさせました……

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

シオンが使った術は、我々の世界では『血僕』と呼んでいる

ソラン
ソラン

はは、確かに……下僕のようなものでは、ありましたね

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

業血鬼による一方的な支配。それによって命令されたんだ

ソラン
ソラン

それを加味したところで、いきつく妥当な線は監禁、でしょうかね

エメス
エメス

たぶんあのままあそこに放置しておけば、そうなってただろうね

ソラン
ソラン

十大貴族には、ルドワズ領の復興のため、エミリー公爵を公爵に推したフィン・キルシュタイン公爵がいます。彼は理知的で、エミリー公爵があの黒翼戦争に関わっていないことを把握し、そういった判断をされました。ですから、僕が自分の意思で行動をしていないと分かったのなら、おそらく、処刑ということにはならないでしょう

エメス
エメス

それならあなたはこのあと、帝都かどこかに行って、自ら裁きを待つの?

ソラン
ソラン

それが、正しい……ことなのでしょうね

エメス
エメス

そうかもね。あなたがそれで納得してるんだったらいいんだ。でも私があの場からあなたを連れ去ったのは、ただ正しいとか妥当だとか、そういう理由であなたが拘束されてほしくなかったから

ソラン
ソラン

ありがとうございます……。罪は償わなければなりません。それは、僕も痛感しています。ですが……一つだけ。どうしても、したいことがあります

九十九PL
九十九PL

促します

ソラン
ソラン

弟と、話がしたい

エメスPL
エメスPL

ウィル・ノイは帝都ですか?

いえ、ウィル・ノイの説明によると、他領で生活とあります

エメスPL
エメスPL

えーと、『どこか』ということですね

九十九PL
九十九PL

どこかって分かるんですか?

エメスPL
エメスPL

ソランは知ってるんじゃない?

いや、全然知らんすw

ソラン
ソラン

彼と話をしたら、出頭しようと思います。いい、ですか?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

ああ。ウィル公爵も、彼の復讐に区切りをつけるべきだ

ソラン
ソラン

僕を殺そうとしてくれていたこと……、嬉しかったんです

エメス
エメス

嬉しい?

ソラン
ソラン

ええ。だってそれは、……ここでこの言葉を使うのもなんですが、愛、ということでしょう?

エメス
エメス

分からない。全然分からない。でもそれが、あなたにとっての喜びなの?

ソラン
ソラン

ええ。僕が業血鬼になったと、そう知って、僕を殺そうとしてくれた。あのとき「ありがとう」と伝えてくれと言ったのは、彼を肯定したかったんです

九十九PL
九十九PL

あぁ……

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

彼にはちゃんと伝えたよ

ソラン
ソラン

伝えてくれたんですか。あの……野暮ですが、反応は……?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

怒って通信を叩ききられたよ

ソラン
ソラン

でした、か……。あはは、恥ずかしい、その。昔からそうなんですが、ウィルの前となると、どうしても本音で話してしまって。彼の気持ちを考えるならもっと、誘導だとかを使って、喜ばせてあげたり、自信を持つようにさせたりするべきなんだとは思っているんです。今回も、失敗してしまいましたね……

エメス
エメス

あなたは通じるといいと言ってたけど、やっぱり通じてなかったよ

ソラン
ソラン

そうですね……。最後に、一度だけでも、通じるといいのですが……

エメス
エメス

これ、あなたに渡す

エメスPL
エメスPL

と言って、シオンの灰を、あの部屋にあった綺麗な箱に詰めて渡します

ソラン
ソラン

これは?

エメス
エメス

シオン・ルドワズの……。私たちより、あなたが持ってるべきだと思う

ソラン
ソラン

……泣けたら、よかったんですけどね

エメス
エメス

泣けないんだ

ソラン
ソラン

僕の、吸血鬼としての欠落は、涙でして

エメス
エメス

そうだね。泣けたらよかったと思う。そうすればきっと、彼女が少しだけ、ほんの少しだけ報われたと思うから

ソラン
ソラン

ごめんなさい、シオン……

箱をぎゅっとして

ソラン
ソラン

ありがとうございました、エメスさん、ツクモさん。それでは

そう言って、闇の中に去っていきます

エメスPL
エメスPL

それを、消えるまで見送っていました

では、終幕フェイズにまいりましょうか

本作は「からすば晴(N.G.P.)」および「株式会社アークライト出版事業部」が権利を有する
『人鬼血盟RPG ブラッドパス』の二次創作です。
c2019 からすば晴/N.G.P./アークライト/新紀元社

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