第4話「疑惑の協奏」-12

交流シーン:リック公爵の私室

業血鬼のソランさんは、全然休憩しなくても大丈夫だと言わんばかりに、入口の見張りをしてくれます

九十九PL
九十九PL

業血鬼ってすごい

エメス
エメス

あのさ。さっきソランさんと少し話をする機会があったんだよ

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

ああ

エメス
エメス

その時に言ってたんだけど、私達にいろいろ構ってくるのは、やっぱり打算だったんだって。そのほうが自分に有利だから、って言ってた

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

そうか……

エメス
エメス

私は、そうじゃないんじゃないって言おうとしたんだけども、そこで、そうだって言って話を切ってた。でもこれって、つまり、気を使われてるんじゃないかなって思ったんだけど……

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

というよりも、今の彼には、ちゃんとしたことが言えないのかもしれない

エメス
エメス

何かあるのかな

九十九PL
九十九PL

さっき拾った例のリストバンドを見せます

エメス
エメス

それ、なに?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

これはさっき、ソランの懐から落ちたリストバンドだ。何か精氣がこめられているように感じる。これは?と尋ねたら知らないという態度だった。それに彼は、弟に対してありがとうと言ったときに、これ以上言うことはできないと言っていた。もしかすると、何か制約がかけられているのかもしれない

エメス
エメス

自分の意思通りに言葉が出せないみたいな、そういう制約なのかな。それは今のところ何とも分からないね。まさかそうきいても答えてくれないだろうし

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

正直な話、俺も彼と話したけど、彼は本当に普通の業血鬼と違う……。何というかな……

エメスPL
エメスPL

黙ります。話の続きを促します

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

何て言えばいいのか、言いにくいな……。業血鬼だけど、他人を思いやる心といったものがあるように見えるんだよ

エメス
エメス

私もそう思う。弟のウィルさんのこと、すごく楽しそうに話してた

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

実際の兄弟というわけではなくて、吸血鬼になってからの兄弟らしい。それでも、その弟のことをそんなに気にかけて……

エメス
エメス

私は怖いんだ。ここで今見ている業血鬼がSIDで教わった業血鬼とは違うものなんじゃないかって。SIDは言ってたよ。業血鬼と人間や普通の吸血鬼は相容れないから、殺さなければならないって

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

そうだな

エメス
エメス

業血鬼から、吸血鬼に戻ることも絶対にないって。でもその、片方の前提が崩れつつあるんじゃないかって、私は怖い。もし本当にそうだとしたら、私は、例えばアスカになんてことをしてしまったんだろうって思うから。だから、ソランさんが私たちを騙してくれればいいって、そう思っていたんだけど、彼もそう言ったけども、でもだからこそそうじゃないんじゃないかって。どう思う?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

…………

エメス
エメス

アスカだってもともと、私たちからすれば業血鬼であるから以上の敵対する理由はなかったんだよ。彼は私たちによくしてくれたし、彼は妹をよみがえらせたいだけだった。もしかして何か、それで、いわゆる悪いことをしていたのかもしれないけども、私たちはそんなことは知らなかった

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

……俺は、業血鬼について知ろうとしていたかったのかもしれないな。業血鬼とは命を奪う悪しき怪物だと考えて、人を襲わせないようにするのが最善だと考えていた。だから、業血鬼からもとに戻す、そういった考えはもう諦めていたんだろう……

なんだろう、さすがに入っていいですか

九十九PL
九十九PL

はいはい、どうぞ

エメスPL
エメスPL

そこでソランに来られると全否定してしまいそうな気がするんですけどどうなんでしょうねw

そらぁ全否定するよ!w コツって足音を立ててですね、後ろにいるあなた方のほうを向いて

エメスPL
エメスPL

馬鹿な考えだって一蹴してくれますか?w

はいw

ソラン
ソラン

業血鬼は耳がいいということはご存じありませんか? はぁ……全て聞こえていますよ。僕について、何も事前情報を調べてこなかったのですか?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

いや、事前情報は調べた。冷静沈着、戦争の天才

ソラン
ソラン

ノイ領を、血戒域の支配下に置いています。それでも、君たちは僕を、何かいいものだと思おうとしているのですか?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

そうだな……あんたは業血鬼だ。ノイ領を支配して、そこでは徹底的に規律を守らされている

ソラン
ソラン

ええ、その通りです。そしていずれ、黒翼戦争を起こす。それが僕です。君たちとは相容れない

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

業血鬼……

ソラン
ソラン

もう少し、別な話題を話したらどうですか? 僕に聞かれてもいいようなことを

と言って、また見張りに戻っていきます

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

そうだな。……でも、信じたくなってしまうんだよ……少しでも、希望っていうものを……

めっちゃ聞こえてるよw

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

話を変えようか

エメス
エメス

そうだね。この話はこれでおしまい。私の甘い勘違いだった

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

フィン公爵がこの領を解放すると、もしかすると元の世界に帰ることができるかもしれない

エメス
エメス

そうかもね

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

ケーキを食べる約束がまだ果たせていなかったな。エメスは、ほかに何がしたい?

エメス
エメス

いや、特に今は思いつかないな。なんだろう。私、かっこ悪いな

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

どうした?

エメス
エメス

前回も今回も、私は見当違いの甘い発言ばっかりだ。前回はグレイシアが笑った。今回はソランさんに笑われた

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

でも、いいんじゃないか? もしかしたら業血鬼になっても元に戻ることができるかもしれない、もしかしたら友達になれるかもしれない。今は無理でも、もしかして将来は可能になるかもしれない。最初から切り捨てるよりも、未来に託してもいいんじゃないかな

エメスPL
エメスPL

なるほど

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

甘い考えができなくなるより、今のほうが百倍素敵だと思う

エメスPL
エメスPL

だいたい分かってきたぞ。九十九がエメスにめちゃくちゃ甘いんだ

うん

九十九PL
九十九PL

なんてこった

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

今度街に戻ったら美味しいものでも食べに行こう。最近いろいろ考えることが立て続けに起こりすぎて、ゆっくり考えることもできやしない。いったん立ち止まって、ゆっくりしてもいいんじゃないのか

エメス
エメス

確かに、ルドワズからこの街にかけて、心休まるのは馬に乗ってるときくらいしかなかったね。それで私の心が弱くなってたのかもしれない。普段の調子を取り戻せば、きっとこんな考えもおさまる

エメスPL
エメスPL

戻ってきてもらえますかw

ソラン
ソラン

二人とも、休めましたか?

九十九 藤十郎
九十九 藤十郎

ああ

エメス
エメス

まぁ、多少休めたよ

ソラン
ソラン

それはよかったです

というところくらいで切りましょうか。次、吸血なので

本作は「からすば晴(N.G.P.)」および「株式会社アークライト出版事業部」が権利を有する
『人鬼血盟RPG ブラッドパス』の二次創作です。
c2019 からすば晴/N.G.P./アークライト/新紀元社

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